昨年京都の佛教大学様で、”Programming Education: Learn to Code Initiatives for K-12″ (プログラミング教育:K-12向けコーディング学習の取り組み)という題名で、研究発表をさせて頂きました。
内容と致しましては、
- 米国におけるK-12プログラミング教育の背景
- プログラミング教育コンテンツの紹介
- カリキュラムデザインにおいて考慮すべき事項
についてフォーカスした内容となりましが、この中で1の米国におけるプログラミング教育の背景については、日本の皆さまから度々質問がありますので、米国のプログラミング背景、そして日米にどのような違いがあるのか、こちらに投稿させて頂きたいと思います。
こちらが過去10年間の米国でのプログラミング教育に関する主な出来事です。
年 |
出来事 |
2007 |
ジャネット・ウィング博士(Dr. Jeannette Wing) |
2012 |
CSTAのK-12コンピューターサイエンス学習指導要領 |
2013 |
Code.orgの発足 |
2016 |
CS For All |
2018 |
ハワイ州のコンピューターサイエンス教育法案 |
まず2007年にウィング博士のComputational Thinkingという論文が発表されました。これは、自動化と抽象化を組み合わせた思考法であり、21世紀において、大変重要なスキルであるとドクターウィングは主張しています。そして日本のプログラミング教育における、プログラミング思考の元となったものです。
2012年には、CSTAによるK-12のスタンダード、学習指導要領にあたるものができました。こちらはコンピュターサイエンス教員組合において作成・保守されているスタンダードです。ハワイ州を含め、多くの州がこのスタンダードを採用しています。その他多くのプログラミング教育コンテンツも、このスタンダードに基づいています。
2013年にはCord.orgが発足しました。Cord.orgK-12のコンピューターサイエンス教育を推進している非営利団体です。多くの学習コンテンツを無料で提供しています。
2016年にはCS for ALLというイニシアチブが提言されオバマ大統領政権では、コンピュターサイエンスを促進するため$200ミリオンの支援を行っております。この取り組みは、現在のトランプ政権にも引き継がれています。
2018年の今年に入り、ハワイ州のコンピューターサイエンス教育法案が可決しました。2022年までに、全ての州立学校でコンピュターサイエンス教育をスタートさせる計画です。この法案には以下のようなものが盛り込まれています。
- ハワイ州での学習指導要領
- 公立学校での学習内容のプラン
- コンピューターサイエンス分野の教員免許
- ハワイ大学への入学条件として、高校でのコンピュターサイエンスの単位を認める
続きます