米国におけるプログラミング教育(2)

特徴1. K-12の児童・生徒にコンピューターサイエンスを学ぶ機会を与える

CSTA学習指導要領

米国ではコンピューターサイエンス(CS)を一つの教科として、コンピューティングに関する総合的な内容を取り扱う事をを前提としています。先ほど紹介いたしましたCSTAのスタンダードは以下の項目が設定されています。

 

  • Computing Systems
  • Network & Internet
  • Data & Analysis
  • Algorithms & Programming
  • Impact of Computing

CSはプログラミングだけでなく、ネットワークやハードウェア、コンピューターリテラシーなども含みます。こちらのチャートを見て頂くとわかりますように、K-12(幼稚園から高校まで)すべての段階において、これらの内容についてするのが特徴です。そしてこれらの項目が、大学においてのCS教育と整合生が取れています。

日本おきましては、だれもが「プログラミング教育」と言っていますように、プログラミングばかりが強調されているようです。新学習指導要領では以下のように区分分けされています。

 

  • 小学校:文字入力など基本的な操作を習得、新たにプログラミング的思考を育成
  • 中学校:技術・家庭科(技術分野)においてプログラミング、情報セキュリティに関 する内容を充実
  • 高等学校:情報科において共通必履修科目「情報Ⅰ」を新設し、全ての生徒がプログ ラミングのほか、ネットワーク(情報セキュリティを含む)やデータベースの基礎等について学習

全体的な内容としては米国のCS教育に近いのですが、小・中学校に’おけるプログラミングが強調されすぎて、子供達が一つの教科として総合的なコンピューティングを学ぶようにデザインされていない点が大変気になります。

サイエンス vs エンジニアリング

コンピューター分野において、二つの教科があることはご存じでしょうか?コンピューターサイエンス(CS)とコンピューターエンジニアリング(CE)です。CSは数学のような自然科学のひとつであり、ソフトウェアやアルゴリズムが重視されます。そして真理の探求を目的とした科目です。一方、CEは電子工学から発展した科目であり、ハードウェアがフォーカスされます。そして社会のためどのように物事を効率化するかということが主眼となります。米国におけるプログラミング教育は先ほども申し上げました通り、CSになります。

日本はどちらかというと、CEに重視する傾向にあると思われます。例えば、日本の中学校では技術の授業が必修教科としてあり、コンピューターに関する科目も技術の教員が担当することが多いようです。また、大学では技術科目の教員養成教授がカリキュラムの作成に携わっていることが多く、センサーやロボットといったトピックが見受けられます。これは技術立国としての日本を象徴しているよで、大変面白い点ですね。